デニロ

黒の斜面のデニロのレビュー・感想・評価

黒の斜面(1971年製作の映画)
2.5
会社サボっていたら事件に巻き込まれて連絡がつかなくなっちゃった。連絡しようにも連絡できない状況だし、そもそもいるはずのないところにいるんでばれたらまずいな、どうしよう。そんな話を大仕掛けにした本作。

松本清張の原作ものかと思っていた。菊島隆三のオリジナル。その昔、テレビで観た記録がある。なんとなく覚えていた。

市原悦子の意味不明の言動にぐちゃぐちゃにされる加藤剛。そうか、加藤剛で松本清張を結び付けたのか。いや、市原悦子の言はもはや何をおっしゃっているのか分かりかねます。気が動顛している加藤剛の行動も正気の沙汰ではございません。このふたりの合意なき打合せシーンが全てで、岩下志麻、山口果林はいてもいなくてもいいような気もする。ラスト。それまで散々触れられてきた加藤剛の優柔不断に愛想をつかした岩下志麻が笑い飛ばすかのような行動に出る。

うーん。おそらくわたしは躊躇いながらも出社して事の顛末を報告するでしょう。いやなことはさっさと済ませてしまうに限る、ということを経験上学んだから。でも本作の加藤剛の様に33歳の頃だったらどうだろう。ワシントンの故事に倣ったと思うけど。

遅きに失した結果辞令が発令されるラストに嫌な気分がしたのはなんでだろうか。

1971年製作公開。脚本菊島隆三 。監督貞永方久 。
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