寝木裕和

エドゥアルドとモニカの寝木裕和のレビュー・感想・評価

エドゥアルドとモニカ(2022年製作の映画)
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ブラジル映画祭 in 東京、にて。

‘80年代… 、ブラジルの首都・ブラジリアを舞台にした恋愛ドラマ。

ブラジルの伝説的ロックバンド、Legião Urbana の同名曲、『Eduardo e Mónica 』の歌詞をそのまま、物語にしたもの!びっくり。

内容の方は、ネトフリとかアマプラとかでもよく観られる、海外のメロドラマ的な感じ。

けれど、それはネガティブな意味ではなく、この作品ではそういった恋愛模様の中に、1985年までブラジルで続いた軍事政権のこと、当時はまだまだ世間的に偏見の目で見られることが多かったLGBTQ 差別の問題、男尊女卑的な社会構造の問題… なども織り込まれていて、一筋縄ではいかない印象を与える。(でもブラジルだとネット配信系ドラマでもそういう社会的問題をうまく取り上げていることが多い。)

作中、モニカがブラジリアを離れてリオで新しい暮らしをしようか迷っていることを知ってしまったエドゥアルドが、傷心の中歌うのがカエターノ・ヴェローゾの「Londo, London 」。

これ、映画のストーリーにも合っているし、ここで突然歌い出すことにハッとさせられる。… のだけれど、クレジットを見ていたらこの作品の音響担当、「 Pedro Sá 」となっているのだけれど、Pedro Sá って、あのPedro Sá?(Pedro Sá ってかつてカエターノ・ヴェローゾのバックバンド・Banda Cê のギター担当だった…あの?)だとしたら、その繋がりでカエターノの曲が使われているのかなとも思ったり。

エドゥアルドの部屋が何度か映るのだが、壁にMalu Mader のポスターが貼ってあったのが気になった…。
この人、やっぱりブラジルでは人気の女優さんなのだなあ。。

ラストのシーンで、モニカの方から「私たち二人、いっしょに生きていこう!」と言うのがとても素敵だと思った。
終始こんな感じで、モニカの方が… つまり女性の方が自由で、生きたい生き方を突き進んでいて、そして言いたいこと言う。
そういう描き方、とてもブラジル的だなと、清々しい気持ちになったのだ。
寝木裕和

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