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ミュージック ~僕だけに聴こえる音~のhasisiのレビュー・感想・評価

3.7
米国。東部、大西洋岸にあるニュージャージー州。最も人口の多い都市、ニューアーク。
ブラジル人の母を持つルディは大学生。
地下鉄で人形劇を披露する路上パフォーマーだが、鳴かず飛ばず。
ある日、4年付き合った彼女とダイナーで過ごしているが。
いつも話を聞かずに上の空、と別れを切り出される。
ルディは、あらゆる環境音が打楽器の音色に聞こえる共感覚の持ち主だった。

監督は、ルディ・マンキューソ。
脚本は監督と、ダン・ラガナ。
2024年にAmazon Prime Videoで公開された青春ロマンティック・コメディ映画です。

【主な登場人物】💥🐟
[アンワル]キッチンカー。
[イザベラ]魚屋。
[ヘイリー]彼女。
[マリア]母。
[ルアナ]母の紹介。
[ルディ]主人公。

【概要から感想へ】🤸🪘
監督で主演のルディは、1992年生まれ。ニュージャージー州出身の男性。
ヒスパニック系。
ミュージシャンでコメディアンでもある。
本作が長編デビュー作で、自伝的な内容になっています。

共感覚とは?
1つの刺激に対して、別の種類の感覚も生じる知的現象。
ルディの場合は、環境音が音楽に聞こえる。

彼が運営するYouTubeチャンネルである「Rudy Mancuso」は、現時点で登録者数738万人なので、すでに成功者です。

ネクストジェネレーション。
『トーク・ツー・ミー』につづいて、黒船に乗ったYouTuberの来航。
1992年組が花盛りで、世代交代の足音が聞こえる。
世界各地の天才がぞくぞく映画界に集まってきますよ。

🎹〈序盤〉👂🏽🚪
環境音が音楽に聞こえる人から見える世界の映像化。
一般生活を困難にする過集中だけど、天才と呼ばれる人たちが持っている能力。
音楽を用意して、一般人に扮したダンサーたちが食器やボディーパーカッションで演奏する。
普通のキャライベでスタートするけど、普通じゃない映像がミュージカルのようで気持ちいい。

・何度注意しても同じ失敗を繰り返す。
・まったく本題と関係ない、微々たる部分に対して異常にこだわる。
など、
相手を自分から見て「変わっているな」と思った場合、まず「脳の特性かも」と考えるとよい。

「どうしてそんな簡単な事もできないんだ」
と、注意するのは相手の理解が足りていない。
理解している場合はサディズムを楽しんでいるか、無神経。もしくはブーメラン。

人それぞれ、乗っている肉体には性能の違いがある。お互いに苦手な分野を助け合えば、出来ることは増えるし、仕事は楽になる。
認め合って切磋琢磨するのは大事だが。
周囲の足を引っ張ってしたり顔。他人に敬意を払えない人とは、まじめに付き合わない。

🎹〈中盤〉📱😿
音楽、イマジナリーフレンド、恋愛。
ずっと夢と現実が溶け合っている。
どれか欠けても生きていられない人。
表現の世界では、夢中じゃないと生き残れないけど、廃人と紙一重。

🍝欲張り。
二兎を追うものは一兎も得ず。
昔から何も変わらない成功者の営み。

愛情が強い人は注ぐ相手を必要とするから、関係性が冷え込むと、生きている実感が得られなくて、別の相手に目が行く。
浮気の相談が多くて驚いたのは、20代の記憶。
だからもう慣れたし、“愛情”が単に個人の欲求だとも知った。
ルディの場合は、すべての時間を愛で埋めようとするから大変。極まっている。

そもそもこの映画、監督から見えている世界なので、客観視点が存在しない。
恋愛中毒なのに誰もツッコミを入れない。
音楽と妄想の中毒は笑って見ていられるけど、
色情はそうはいかない。
隠さずにせきららなのは評価するけど、それとてマゾヒストの快楽。
人格が変わるわけではないので、いまもそのままなのは確定だから、なんだかなぁ。

🎹〈終盤〉🪥🧹
自分で監督・脚本・主演。
恋人役に美女を選んでもてもて。
好きなものだけを詰め込んだ夢の世界。
最初はにやにやできるけど、チート。すぐに感覚がマヒするので、頭がぼ~として退屈に。
『Saltburn』のように欲望を満たすだけの展開に「またこれかよ」と頭を抱えるが。

転機。
YouTuberとしての現在に繋がってくる。
気持ちよく全ての問題が解決されて、
それこそ願望というか、夢のつづきだろうけど、
だらっとしているよりはまし。

落ちも気持ちよくて、評価がべらぼうに高いのも頷ける。
動画配信者らしく、短い動画を繋ぎ合わせて、展開をガラッと変える手法が上手く活かされていた。

【映画を振り返って】📖🖊️
劇中で、携帯のメッセージでやり取りする場面があるのだが、絵文字をEmojiと発音していて驚き。
日本発祥の文化だった:)

劇中の母親役、マリアは本人らしい。
過保護な親子の役を当人同士で演じるなんて。
インタビュー中に紹介された携帯にも母から着信通知が溜まっていて、劇中とまったく同じwww

🥁音ハメが気持ちいい。
本作を体験すると、食器がぶつかる音も、キーボードを叩く音もリズムを刻みはじめる。
音楽が好きな人だとより楽しめるだろう。
と、楽しい感じで終わりたかったけど、
足音でも、ビニールが擦れる音でも、瓶がぶつかる音もすべて音楽に聞こえはじめる。
いわゆる「目覚める映画」なので、耳がよくて音程をとるのが得意な人だと、戻れなくなるかもしれないので、覚悟した方がいいかも。
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