高倉健主演のサラリーマン喜劇、太郎シリーズ1作目。源氏鶏太原作。アクション度強く、健さんのキャラは後の『網走番外地』シリーズと変わらないとっぽいあんちゃんだから、サラリーマンものと言ってもすんなり楽しめる。日活が裕次郎でやった源氏鶏太物に比べると、セット衣装等なべて東映調で野暮ったいのだけれど、そこを健さんの魅力で一気に見せる。混浴風呂でのぼせて奇声を上げる胸毛ヌードの健さんが貴重。ザ・ピーナッツのショーを混じえたアクションも華やかで楽しい。そしてマフラー。シブ萌。あれでこの映画はすべてOKとする。あのマフラーに映画の思想があった。こういう生き方もよいではないか。
ヒロイン山東昭子とライバル大村武文以外は充実したキャスティングで、窓際三人衆伊藤雄之助・加藤嘉・花沢徳衛、社長小川虎之助、中高年男性陣良し。特筆は芸者金魚役の楠トシエ、出ただけで画面がパアッと明るくなって嬉しくなる。