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密告の砦のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

密告の砦(1965年製作の映画)
2.0
[ヤノーシュっておじさんが手当たり次第仲間を売るよ] 40点

ヤンチョーお得意のロングショット長回しで構成される密告者の物語。つまんなすぎてサブ垢送りにしようと思ったけど、なんか悔しいから書いてみる。日本で公開された唯一のヤンチョー映画であり、本作品のつまらなさからその後のヤンチョー映画(どころかハンガリー映画)は日本公開をそっ閉じされたであろうことが明白な作品である。

1869年に反政府勢力のゲリラ狩りを開始したオーストリア政府が砦(と言うより入れ物)に集めた農民のうちヤノーシュというおっさんが"解放されたければ仲間(シャンドールという名のリーダー)を売りな"と言われて売れそうな仲間を売りまくる話。手当たり次第密告していくだけなので緊迫感がないし、長回しってのも合わさってテンポが緩慢そのもの。結局ヤノーシュも同房の農民たちに殺され、今度はヤノーシュ殺しの被疑者が密告者としてヤノーシュ殺しの犯人とシャンドールを探す。すると、突然砦に居た農民たちが軍服を来て演習を始め、被疑者三人も軍に加わり、そのうちの一人が騎馬隊を組織するという超展開を迎える。ラストは"実はシャンドールなんてやついませんでした、ゴメンネ!"という皇帝からのメッセージとともに残りの農民たち(組織されたばかりの騎馬隊メンバー)が処刑されるところで映画は終わる。

いかんせん単調すぎて何も見えてこないし、没個性によるマクロ視点の獲得も中途半端にしか出来ていないので「The Red and The White」であったような無常感も少ない。物語的にも後半30分の超展開と言うか"目的"と化したどんでん返しが寒すぎて震える。

ヤンチョーって遠くに行かせて射殺するの好きだよね。ロングショット遣いの宿命か。

追記
突如として登場した女性を全裸にして鞭打って殺すなど謎の残虐性が窺えるのもキモいポイント。
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