1999年公開のノーラン監督の初長編映画が25周年を記念してレストアされ劇場再公開。
併せて再公開された『メメント』と最新作『オッペンハイマー』とで、春のノーラン祭り開催!という雰囲気。
低予算作品なので後の作品のような映像的なリッチ感は控えめですが、あえて白黒にすることでフィルムノワール的な風格のある映像表現になっており、安っぽさはありません。
ただ、アクションはこの頃からあんまり上手くなかったんだなーというシーンはありましたが(笑)
また、時系列をシャッフルして観客を翻弄するスタイルは本作で既に完成の域。主人公の髪型や服装、ケガの有無などで違う時間であることはある程度わかりやすく示され、それらカットをバラバラにつなぐことで、まるでパズルを解くような緊張感が演出されています。
初期作品ゆえかテクニック先行な感もありますが、独自のスタイルによるスリリングなストーリー展開は今の目で見ても非常に面白い。
70分というノーラン作品としてはかなりの短尺ながら、満足感は十分でした。
同じく時系列操作の手法を用いているその後の作品と改めて見比べることで、テクニックの進化やストーリーとの有機的なコンビネーションの発展など、ノーラン監督の進化を感じるのも面白そうです。
ノーラン好きならすべからく観るべし。