たむたむ

フォロウィング 25周年/HDレストア版のたむたむのレビュー・感想・評価

4.0
クリストファー・ノーラン長編デビュー作となるクライムサスペンス。上映終了前日に駆け込み!…と思ったら延長してた。

創作のヒントを求め他人を尾行していた作家志望の男が、ある男に感化され行動を共にするようになった事で、予想外の事態へと巻き込まれてゆく様を時系列シャッフルスタイルで描く。

これがデビュー作だという事実に、まず驚き。
計算し尽くされたシナリオを分解し、ランダムに見せる事でシーン一つ一つが際立ってくる。このノーランお得意の手法を、まどろっこしいと嫌う人は少なからずいるだろうけど、この演出によって、衝撃ラストが複雑な余韻となって脳に刻まれる事は間違いない。

大抵ノーランの作品は「起承転結」の「承」と「転」が曖昧になりがち。鑑賞後すぐに全容は見えて来ない。だからこそ惹きつけられる魅力があるし、味わい深い。散りばめられた伏線や、バラバラになったシーンを掻き集め、頭の中で再構築する事で完成に至る。そこで初めて、作品の真髄に触れることになる。制作費6000ドルという超低予算作品でありながら、このアイデアとセンスだけで魅せ切る手腕は、やはり只者では無いと実感する。。しかも、ほぼネームバリューを持たないキャリア初期にも関わらず。

全編モノクロなので画面の地味さは否めませんが、これが功を奏してか上品でクラシカルな印象を与えます。単に予算不足を補うための、苦肉の策だったのかも知れないけど(笑)

尺70分という手軽さに加え、主な登場人物はたったの3人。なのにここまで緻密なクライムサスペンススリラーが作れるのは、ノーランだけかも。
ラストまで読めないドンデン返しの傑作でした!
たむたむ

たむたむ