私がこの映画で一番好きなシーンは、始まりのシーン。ホリーがタクシーを降りて、ティファニーの宝石を眺めながら朝食を食べ、ニューヨークの街を歩く場面。終わり方が素敵な映画は沢山思い浮かべられるが、始まりが印象的なものは意外と無い様な。
私の記憶が間違いなければ、小説ではホリーは去った。私はそれこそがこの物語の終わりであるべきだと感じた記憶がある。誰もホリーを分からないし、ホリーにすら自分がわからない、自分の欲しいものが分からないまま終わる。自由が手に入ったとも私は思わない。ポールがいう様にホリーは一生自由を求める檻の中にいるし、自らそれを望むだろうって。私たちは必ず何かしらの奴隷であり、檻に入っていることを表すには、やはりホリーを旅立たせなければならないのだ。
でも、映画は映画で好き。
映画というのは、観るものに夢を見せる事を体現いている終わり方だった。現在の映画というのは現実をありのままに見せる風潮があるが、夢だけど見せてくれる映画だって私達には必要なのよ。