ゆう

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のゆうのレビュー・感想・評価

3.5
殺人鬼のような異常者も出てこないし、目に見える超常現象も起こらないが、そこらのホラーよりもよっぽど不気味である。

謎に謎を重ねたうえで、解説もないまま終幕。
オチをあえて見せない演出なので、解釈は観客にゆだねられるわけだが、まるですべてが夢の中の出来事のようにも思えてくる。
(実際、原作は夢から着想を得ているようだが)

ふわふわとした女性たちの描写に対し、ごつごつとした岩山。
女性らしく振舞うことの抑圧に対し、コルセットを捨て去ることによる解放。
コントラストの描き方が秀逸である。

なかなか理解が追い付かないところであるが、圧倒的な自然の力を前に、人間の無力さを突き付けられた感覚を持った。
(全然趣向は違うが、先日鑑賞した「悪は存在しない」と同じような印象を感じる部分があった)
ゆう

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