ぶみ

家出レスラーのぶみのレビュー・感想・評価

家出レスラー(2024年製作の映画)
2.0
家出からはじまる奇跡の人生。

女子プロレスラー・岩谷麻優の自伝『引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで』を、ヨリコジュン、平井杏奈主演により映像化したドラマ
二年間引きこもり生活をしていた主人公が、プロレスラーになることを夢見て上京し、女子プロレスのアイコンとなっていく姿を描く。
原作は未読。
主人公となる岩谷マユを平井、女子プロレス団体スターダムのゼネラルマネージャー・流香をスターダムの現役プロレスラーである向後桃、スターダムのレフェリーをレイザーラモンHG、マユの兄を中本大賀が演じているほか、木村有希、朱里、有田哲平、古坂大魔王、石野真子、竹中直人等が登場。
物語は、山口県での高校時代のあることをきっかけにマユが引きこもりとなるシーンでスタート、そのきっかけが結構ヘビーなものであるのだが、そこへの深掘りは全くなく、何事もなかったかのようにあっさりしたものとなっている。
以降、兄と観戦したプロレスをきっかけに着の身着のままで家を出て上京、女子プロレス界のトップへと成長していく様がコミカル調で描かれるのだが、女子プロレスと言えば、古くはビューティ・ペアや、その一世代後となるクラッシュ・ギャルズあたりで記憶が止まっている私は、岩谷麻優や前述の向後桃、朱里といった名前は全く知らず、恥ずかしながら本人が登場しても全くわからなかった次第。
そんな女子プロレスに対する知識が皆無な私なので、細かいネタに気づくことなくどんどん物語が進行していったものの、そんなに深いエピソードはなく、なんだかんだ言っても試合のシーンは思わず食い入るように観てしまうことに。
ただ、冒頭の引きこもりに対するきっかけがそうであったように、全てがアッサリ目な味付けとなっているため、マユに人気が出たことはわかったのだが、トレーニングシーンが腹筋とスクワット程度しか出てこないなか、どのようにして強くなって行ったのかが伝わってこなかったのはスポーツものとしては致命的。
また、キャストもお笑い芸人や現役レスラー等が名を連ねているため、プロレスシーン以外の演技は褒められたものではないなか、竹中直人がきちんと仕事をしていたのが印象的であったのと同時に、本作品の配給であるプシロードムーブが所属するグループ会社のベースとなるプシロードの社長・木谷高明がカメオ出演していたのも見逃せないポイント。
お世辞にも映画としてのクオリティが高いとは言えず、本作品より出来の良い二時間ドラマは多々あるぞと感じたのが正直なところであったものの、前述のように試合のシーンに限っては、観る側を惹きつけるだけのパワーを持っているとともに、明らかに女子プロレスファンのような男性客が席の大半を占めていたため、素人の私がいてはいけないような雰囲気を感じてしまったのと、もはや、ゆきぽよ、ゆうちゃみ、みちょぱあたりの顔と名前が一致しなくなってきたことを痛感した一作。

君の家はここだ。
ぶみ

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