【互いに何者なのか…】
※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞
血まみれでやってきて｢匿ってほしい｣と語る男
そんな男を迎えるついでに｢私の最期を綺麗に撮って｣と頼む､生気がない女
男は何から逃げてきたのか…
女は本当は何を望んでいるのか…
"互いを知らぬまま"､"夢と現実"が入り混じる歪んだ世界に2人は迷い込んでゆく…｡
多様な恋の模様を蝸牛に擬えて描いた短編｢蝸牛｣でデビューした"都楳勝"監督｡
そんな監督が､"初長編"として発表したのが本作だ｡芸能事務所｢レプロエンターテインメント｣が主催した｢感動シネマアワード｣にて､グランプリを受賞した企画を､映画化したものだ｡主演には､レプロ所属の"山崎果倫"さんと連続テレビ小説｢ちむどんどん｣や2023年に公開された｢君に幸あれよ｣で映画監督デビューも飾った"櫻井圭佑"さんを起用している｡
"互いを知る事で､互いの自己を形成していく"物語を､夢と現実…複雑に入り組めながら描いていく本作は､背後の美術や音楽､そして主演2人の演技を含めてとても惹き込まれた本作であった｡
主役の"タエコとショウ"は､共に謎多き人物なのだが､2人の抱えているものに"現代的な社会的な苦痛"も感じる事もあり､2人の動向がますます気になる｡途中流れる"サイレン"が一気に不安を掻き立てる｡
非常に不思議な世界観の作品だった｡前作｢蝸牛｣も充分不思議な世界観であった事から､都楳監督の想像力を感じた作品だった｡
観客の想像力が大いに試される､そんな作品だった｡
