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暗黒街のふたりのピッコロのレビュー・感想・評価

暗黒街のふたり(1973年製作の映画)
4.0
不幸な偶然の犠牲者

かなりショッキングなラストシーン。
心に重くのしかかる。

タイトルからマフィアの映画だと思ったけど違う。
元受刑者が社会復帰する話である。

アラン・ドロンは、どこか影のある役がすごく似合う。
あと、ちょっと悪そうな役。
服役を終え、真面目に第二の人生を歩み始める男を演じている。

ただ、今作はアラン・ドロンよりも彼の保護観察司で唯一の理解者を演じているジャン・ギャバン(凄い名前)が印象的。
今作で初めて知りましたが、渋みのある役者さんですね。
アラン・ドロンを優しく見守り続ける演技が心に残りました。

社会復帰し真面目に生きていこうと誓うが、過去の行いがつきまとってくる。銀行強盗の仲間からの勧誘、誘惑、彼を捕まえた刑事。
この刑事は、悪人はしょせん悪人のまま、更生なんて絶対にしないと考えている。なので、社会復帰しても執拗に身辺調査を進めていき平穏な復帰生活を邪魔していく。

それでも、彼には理解者がいるため、平静を保って生きていくことができるのだが・・・。

この映画は、その当時のフランスの裁判や、裁く者、警察官の傲慢や制度などを否定する内容である。
それが、最後の裁判シーンで弁護士が語る言葉に全て集約されている。

服役者の自殺、暴動。正義とは何なのか。
非常に重たく、考えさせられる映画でした。

NHK BSプレミアム プレミアムシネマ
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