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ジェニファーのしたことのkmiwのレビュー・感想・評価

ジェニファーのしたこと(2024年製作の映画)
4.0
事件の発覚はジェニファーからの911。
作品はその音声でのやり取りから幕を開ける。

※以下一部ネタバレ含む
ベトナム移民として成功した両親の元、1986年にカナダで産まれたジェニファー・パン。

これは彼女が犯した事件の発覚から逮捕、裁判までの顛末を追うドキュメンタリーだ。
特筆すべきは、ほぼ実際の映像で構成されている故の半端ない緊迫感か。

2010年6月のある夜、ジェニファーの自宅に男達が押し入り、パン夫妻を撃ち逃走。ジェニファーの母ビック・パンは亡くなり、父ハン・パンは意識不明の重体で入院。

事件の生存者は娘であるジェニファーのみ。

過去の犯罪記録なので黒幕はわかっており、それは当然ジェニファーなんだが、1回目の聴取では被害者としか思えぬ言動。
一世一代の演技なのか、警察からも同情を勝ち取る。

しかし、時間がたつにつれ捜査も進み、聴取を重ねていく中ジェニファーに不審な点が見え始める。

捜査、関わりのある方々のインタビュー、実際のジェニファーと警察のやり取り映像がとてもわかりやすく組み立てられ、不謹慎かもしれないが大変スリリングで面白い。

この事件に至った背景などが徐々にあぶり出されるなか、あくまでも被害者であることを止めないジェニファー。

しかし、塗り固めた嘘は必ずほころびが出る。まして彼女は素人。プロのスキルを前に最終的には犯行を認めざるを得なくなる。
ただし、警察が最終確定できたのは、意識不明だった父親が奇跡的に目を覚ましたからではあるんだが(この目覚めも、まるで映画みたいなタイミング)

背景を知るとジェニファーが気の毒な側面も多々あり、複雑な気持ちにはなる。

だが、もしかしたら解決できたかもしれない、またはゆくゆくは自分の中で折り合いがつくかもしれない問題も相手を殺してしまってはおしまいだ。

聴取中、嘘をつくジェニファーのボディランゲージ。
ああ本当に。隠し事をしてる人って無意識にそういう仕草をするんだと感心するが、いったい本人はどんな心持ちだったんだろうか。

残る音声記録で、撃たれる直前に母親が犯人に向かって言ったのは「娘には手を出さないで」
親子っていうのはシンプルに行かないもんだね。
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