あーち

信頼のあーちのレビュー・感想・評価

信頼(2024年製作の映画)
3.8
一生を添い遂げる約束をした、「信頼」できる相手だからこそ打ち明けた秘密。しかし彼女に逃げられた男はその秘密が明かされる恐怖に脅えながら残りの半生を生きていくというストーリーラインのもと描かれた作品。妄想と現実が入り乱れ、自分の秘密がバレないように願う彼の脳内が表現されたシーンが数回あり、自ら手を下さず事故に巻き込まれて亡くなるという妄想や、自ら手を下して息の根を止めるという妄想など様々で、彼なりの良心と邪悪な心が入り乱れているように感じられた。
彼女と離れ離れになったあとも、どこかで会うのではないかという若干の期待と恐怖により彼女の幻覚をところどころ見ているが、これは未練なのか秘密を打ち明けられてしまう恐怖からなのか、人間味が溢れる彼の言動は見ていて飽きなかった。
ラストシーンでは、これまで登場したセットが登場し、彼女に秘密を打ち明ける以前の教室の黒板や打ち明けたあとの小道具が時系列順に映っていく。秘密を打ち明ける前もあとも自らの犯した何らかの過ちから逃げ続け、脆いダンボールのようなものに閉じこもっている彼の心情そのものを現しているようで非常に面白かった。
あの時元教え子であり元カノである彼女に、そして我が子に教えた秘密はなんだったのかがなんとも気になる。
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