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ロシア・ハウスのHKのレビュー・感想・評価

ロシア・ハウス(1990年製作の映画)
3.6
CS録画の未消化分の中から毎日耳にする“ロシア”のワードが気になって本作をセレクト。
ショーン・コネリー主演作としか知らずに観ましたが、フタを開けてみるとジョン・ル・カレ原作のスパイ・サスペンスでした。
しかも当時アメリカ映画でロシア・ロケが行われた貴重な作品のひとつで、キャストもなかなか豪華だし思ったよりキッチリ作られた大作でした。

タイトルのロシア・ハウスとは英国諜報部(M16)のロシア支部のこと。
実は私はル・カレのスパイものはアクションよりも政治色が強くて苦手です。
ル・カレはM15の元職員ですから描写はリアルなんでしょうが、本作でもCIAやKGBなど組織間の複雑な駆け引きを理解するのが面倒。
そんな私でも楽しめたのは名優たちの競演によるところ大です。

英国諜報部にスパイ活動を強要されるイギリスの出版社社長がコネリー(当時60歳)。
謎のロシア人と主人公との橋渡し役のやはり謎のロシア人女性にミシェル・ファイファー(当時32歳)。
英国諜報部の責任者にジェームズ・フォックス(当時51歳、兄のエドワードそっくり)。
CIAの担当責任者にロイ・シャイダー(当時57歳)
謎のロシア人“ダンテ”に『メフィスト』のクラウス・マリア・ブラウンダウアー(当時47歳)。
独特の存在感のM16局員の一人になんと映画監督のケン・ラッセル。

元ジェームズ・ボンドのコネリーが本作では英国諜報部からにわかスパイに教育される一般人というのも洒落が効いています。
『ネバーセイ・ネバーアゲイン』ではボンドとスペクターNo.1のラルゴとして共演したコネリーとブラウンダウアーのやりとりが楽屋落ちで笑えます。
ブラウンダウアー「あなたはイギリスのスパイか?」
コネリー「・・・違う」

コネリーは本作と同年公開の『レッド・オクトーバーを追え!』ではロシア人の潜水艦艦長を演じており、1990年はロシアと縁が深かったようです。
もともと007時代の代表作が『ロシアより愛をこめて』ですから浅からぬ縁と言えますが。
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