被差別階級で貧しさゆえに忍となった少年カムイ。
自由を求めて忍の掟に背き「抜忍」となったカムイは,裏切り者を抹殺せんと放たれた刺客(追忍)に追われる身となり,他人を信じることも,心安らぐこともできぬ日々を送る。
ある時,藩主の馬の脚を斧で切り落とし奪っていた漁師・半兵衛(小林薫)と出会う。半兵衛の家に身を寄せたカムイは,そこでかつて自分が追忍として対決したかつての抜忍スガル(小雪)に再会する。スガルは自分の素姓を隠し,半兵衛の女房“お鹿”として暮らしていたのであった。
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忍者を主人公としたそれ以上でもそれ以下でもないアクション映画だった。
トラウマを抱えていたり,屈折した心をもつ主人公の物語は少なくないが,(例えば,FF7のクラウドとかFF8のスコールとか,いい例じゃないかも知れないが)こうした物語がヒーローモノになるには,敵をすっぱり斬り捨てる爽快感や,「仲間」や「信頼の心」といった宝を得る大団円が必要である。
多少ネタばれになるが,結末に救いが用意されていなかったため,続編が製作が期待されるの一方で,爽快感や大団円はない。
というわけで,やっぱりアクション映画なのである。
戦闘アクションシーンは見ものだし,テンポのよい展開も良いのだが,明らかにCGだと分かるシーンがこの作品を見事にぶち壊している。さらに,規制がなぜかからないのか不思議なくらいグロいシーンも少なくない。他のレビューなどを見て評価が低いのは,うなずける。
巨大サメハンターの集団?渡衆の頭目・不動を演じた伊藤英明は年齢を重ねたせいか,重厚な演技が光っていた。しかし,それと同時に,松山ケンイチという新星が主役の映画における彼の位置づけから,「世代交代」という印象を覚えずにはいられない。
(2009年10月)