猫脳髄

スクワームの猫脳髄のレビュー・感想・評価

スクワーム(1976年製作の映画)
3.3
平場がどれだけショボくても、ミミズ1000匹、もといゴカイ10万匹(※1)の一点豪華主義でホラー映画史に燦然と輝く地位を占めたアニマルパニック・ホラー。「悪魔の凶暴パニック」(1976)でも唯一無二のアイディアを見せたジェフ・リーバーマンだが、本作では生理的嫌悪を煽ることに特化しており、賭けどころを知るなかなかクレバーな監督である。

ジョージアの田舎町、嵐で切断した送電線から放たれた高圧電流の影響で、養殖場のゴカイが人間を襲うようになるというシンプルさで、とにかく大量のゴカイ(半分はフェイクだそうだが)がモソモソモゾモゾウネウネグニュグニュするさまがひたすら気持ち悪い。

ダイコン役者揃い(※2)で、手間暇カネがかかっていない平場(まことに70年代インディペンデントぽいが)はどうにも眠たいが、シャワーヘッドからゴカイシャワーがズルズルボッタリやドアの向こうからゴカイウォールが崩れてきたり、めちゃめちゃ動くゴカイ床とかもう笑ってしまう。大木が前触れなく倒壊して一家団らんをぶちこわしにするさまなど抱腹絶倒である。

さらに、本作以外出演作が見当たらないR.D.ダウなるゴカイ養殖業の青年が煮詰めたカッペの厭らしさ全開で、呆けた顔面にゴカイが取りつくという本作随一の特殊メイク(※3)も見どころである。ただ、これだけ褒めても平場がショボ過ぎてやはりそこまでの評価はできない。

※1 ゴカイ10万匹は映画内のセリフ。撮影にあたってメイン州の業者から少なくとも300万匹のワーム類を仕入れたという。日本配給の東宝東和は8,000万匹のハッタリをかましたが、まったく見当がつかない
※2 オーディションにはキム・ベイシンガーやマーティン・シーンが参加したそうだが、マジで出なくてよかったね。さらに怪情報ではシルヴェスター・スタローンも興味を示していたとか…
※3 特殊効果アーティストのリック・ベイカーが参加している
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