爆裂BOX

2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.1
アイルランド北部のグレナームの森で、美術大学の学生5人と同じ大学の教授数名が消息を絶った。2ヶ月後、火事になった森の中から一人だけ生存者が救助されるも、危険な状態にあり…というストーリー。
ゲオ先行レンタルでリリースされたPOVホラーです。クソ長くてクソダサいうえに内容殆ど語っちゃってるタイトルですが、つられて借りちゃった自分みたいなのいるから戦略的には成功か(笑)
事件から2年後に発見されたビデオテープには、大学に通うジミーが卒業課題として友人ゴーディのドキュメンタリー撮影が収録されており、教授二人の密談を目撃した二人は、不倫関係にあると考えその現場を押さえる為に同級生の女子エレノアとクレアを誘い密会現場であるグレナームの森へ向かうも、そこでは謎の集団が怪しげな儀式と人間狩りを行っていた、という内容です。
前半はジミーが撮影したゴーディの日常や、二人の教授の密談を聞いて不倫現場を押さえる為に同級生の女子誘ってピクニック気分でグレナームの森を散策する様が描かれますが、夜になって森の中で行われる儀式と、同級生が人間狩りの獲物として追われる所を目撃し、助けようとして自分達も獲物として追われていきます。夜の森の中が舞台ですが、ジミーの持ってるカメラもライトつけてて、更にゴーディたち他の仲間も暗視機能つけたGoProつけてて映像的に暗くて見辛いという所はなかったですね。ジミーのカメラ映像とGoProの映像が交互に流れていきます。
森の中で儀式を目撃する所はほんのちょっと「悪魔の追跡」っぽかったですね。仮面をつけた謎の集団はナイフやクロスボウ、銃で人間狩りを行い襲いかかってきますが、戦闘力的には素人同然なのか、主人公達の反撃で結構簡単に倒されていきます。主人公達もやられていきますが、相手側もアッサリドンドン倒されて行って、グロ描写も無いので緊張感や怖さは感じられませんでしたね。
主人公のゴーディは母親が煙草とアルコール漬けでネグレクトで、恐らく離婚して別の場所で暮らしてる父親もろくでなしっぽい感じだし、荒れた家庭で育ってますが、幼い妹の送り迎えや世話してて、ソファで酔いつぶれてる母親に毛布かけてあげたり優しい所もあって、同級生ぶん殴って問題になったりするけど、それもそいつが自殺未遂起こした(後に獲物にされる)同級生の事「自殺もできない臆病者」「死んだほうが良かった」みたいな事言ったせいですし、好感の持てる人物として映画いている所は良かったですね。カメラマンのジミーも恰好や言動はチャラいけど、捕まって拷問受けてる時も自分と先に殺された女子だけだとゴーディたち庇ったりしてたし、女子二人も獲物として放たれた同級生見殺しにできないと助けようとしたりと皆好感の持てるキャラとして描いてはいましたね。
この手のファウンドフッテージ物は、みんな全滅して投げっぱなしなバッドエンドで終わりがちですが、今作もそうかと思わせて、唯一の生存者が警察は当てにできないとSNSを活用しながら事件の真相を追うその後の展開も描かれるのは意外でした。事件現場に献花に訪れるシーンで妹と一緒に登場するゴーディの母親の身なりがちゃんとしてたのは、事件をきっかけにちゃんと生きるようになったのかなと想像させます。その後、真犯人に辿り着いて逮捕されて、結構スッキリしたエンディング迎えるのも意外でしたね。しかし彼を監禁して生かしていたのは何故なんだろう?そのまま殺しておいた方が証拠も残らなかっただろうに。
犯人逮捕されるとはいえ、森の中で人間狩りしてた集団の正体や儀式の意味などは謎のままですね。どのくらいの組織なのかもわからないし。後、ガソリンスタンドの店主が語ってた「片頭のハリー」の怪談は、結構長々と語った割には物語に全然関係なかったな。
緊迫感や怖さはあんまりないですが、尺も70分チョイと短いですし、最後の展開はこの手のファウンドフッテージ物としては新鮮で、B級作品としてはまずまずと言えるかな?