ちょげみ

シャイニングのちょげみのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
3.6
あらすじ
豪雪地帯にあるため冬の間は人っ子一人立ち寄れないというホテルに、ある一家が管理人として滞在することになった。
主人公であり一家の大黒柱であるジャックは売れない作家である為、住居費が浮く上にお金が入ってくるこの仕事は彼にとって一挙両得である。
しかし、一家三人での瀟洒なホテルでの優雅な生活を送るつもりが、徐々に暗い影が差し始める。
ジャックは妻であるウェンディに怒りをぶちまけたり、息子のダニーは何者かに首に傷をつけられた。
一家崩壊が予期される中、ある日ウェンディはジャックが制作途中の小説の原稿を見かける。
自分の秘密を見られたジャックは、怯えるウェンディに笑顔で近づき。。。


スティーヴン・キングの原作を、スタンリー・キュービックが大幅に改変した形で製作された傑作ホラー。
モダンホラーの金字塔として、今もなお多くの人々を惹きつけている。

多用されたシンメトリーの構図、双子の姉妹、圧倒的な映像美、ジャック・ニコルソンの怪演など、これがかの有名な...と有名な絵画を物珍しそうに見つめる小学生のような気持ちで、おずおずと視聴したのですが、怖さ一点勝負!という感じのホラー映画ではありませんでした。

どちらかと言うと、怖さより不気味さや焦燥感を掻き立てられるような映画だったかな。

今作品は、父のジャックが徐々に狂っていくという形で家族の絆が崩壊していく過程を描いた作品なのですが、誰も助けに来ないだだっ広いホテルで徐々にジャックの精神が崩壊していく過程には、真綿で首を絞められるような苦しさがあります。
何もかもが少しずつ、しかし取り返しがつかないくらいに狂っていく様子は、前には進んでも巻き戻せない歯車を思い起こさせます。
そして熟れすぎた果実のように、あるいは潜りすぎた地下室のように、ホテルに闇が侵食し、一家は引き返せない道程を進むことになります。
そんな演出はとても魅力的で、人々から絶賛される理由も十分にわかります。


しかし突っ込みたくなる要素や、なぜそのようになるのか、というシーンはいくつか登場するので、視聴中どうしても気になってしまったかな。
ダニーが有している超能力は作品の中で中心的な役目を果たしてはいないし、ジャックが食糧庫から出られた理由もわからない。


総括すると、あまり怖くはないけれどオシャレな演出には心を惹かれる、数年おきに見返したくなるような映画でした。
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