ダイナ

シャイニングのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

シャイニング(1980年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに再鑑賞したんですが、やはり傑作としか言いようがない!重苦しい不協和音をはじめとするサウンド面から、シンメトリーを感じさせる構図、二人組の少女とサブリミナルで映される死体や、血の洪水にタイプライターで創作される狂気、巨大迷宮やカーペットの規則性ある幾何学模様。この作品といったら、と挙げたい独創性高い演出が多過ぎて一作品としてとてもお気に入り。

今回改めて印象的に思ったのは人の移動を捉えた撮影でした。廊下から室内へ地続きで撮られた映像は作中世界の広がりを見せてくれているようでとても好み。本作ステディカムというカメラのブレを抑える機材の採用が映像の滑らかさを可能としたとのことで、上述の移動シーンほか三輪車を追いかける撮影や迷路のチェイスシーンにも本技術が採用されています。迷路の中はレール通せないからねしょうがないね。

ダニーが運転する三輪車が曲がり角を曲がった瞬間に少女達に出会すシーンも面白く、突然出現するジャンプスケアと一味異なって何気なく捉えていた空間的に近い場所、曲がり角の先に恐怖が構えているという構図の恐怖。小島秀夫氏の「P.T.」的でもあります。

何回見ても独創的な演出は怖くて面白い。毎度のことジャックの凍結顔で笑ってしまうのまたご愛嬌。舞台設定以外の乖離が多すぎるストーリーの改変レベルはキングがキレるのもしょうがないと思えるわけですが、原作者の世界観を無視するのは個人的には御法度なんですが、それでも本作は…面白い!

DVD特典のメイキングを観ました。トランスの風貌のジャック・ニコルソンが普通に過ごしている映像でもうニヤニヤしちゃいます。ダニー君もかわいい。あと自分の中で神格化されつつあったキューブリックが「ああ、この人生きた人間なんすね〜(当たり前)」といい意味で現実に戻してもらえて良かったです。役者と密に台本練るけどあくまでキューブリックが王様で指揮を執る姿が映されていまして、そんでもってあの無機質なホテル内でスタッフ一同わちゃわちゃしてる様子がただただ幸福でした。シェリー・デュヴァルが病んだみたいな情報をネットで見ますが、プライベートの様子は結構負けん気強そうで、撮影後も「返って集中できたし、最終的にはキューブリックを人として好きになりましたわ」と発言。このひとつよい。
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