てっぺい

シャイニングのてっぺいのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.0
【自滅する映画】
巨大なホテルに3人だけ。空間的な孤独から連想する恐怖に、隅から何か出るのではと勘ぐる恐怖。237号室?REDRUM?豊富すぎるホラー要素で自滅的に恐怖の底へ落ちていく、練られた映画。まさに名作!
◆概要
原作はスティーブン・キングの同名小説。監督は「時計仕掛けのオレンジ」のスタンリー・キューブリック。出演は「恋愛小説家」のジャック・ニコルソンら。
◆ストーリー
ジャック・トランスは、妻と心霊能力のある息子とともに、冬の間閉鎖されるホテルへ管理人としてやってきた。そこでは、かつて精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、ジャックは次第に邪悪な意思に飲みこまれていく。
◆感想
圧倒的なホラー。“このホテルには何かいる”ゾクゾク感が続く前半から、ジャックの綴る文面が判明して以降のスリルな後半まで、終始惹きつけられっぱなし。ほぼ全編にわたるホラーBGMも、やりすぎとも思うほど笑、世界観を醸成していると思う。ジャック・ニコルソンのザ・怪演にはもうスタンディングオベーション。
◆自滅
前半のゾクゾク感がたまらない。そもそも、巨大なホテルの空間にたったの3人でいる事の、空間的な孤独に助長される恐怖。ホテル内、恐る恐る歩くウェンディや、三輪車を漕ぐダニー。その周辺隅から何か現れるのではと勘ぐってしまう、映像連想的な恐怖。まずそんな美術監督ガッツポーズな、撮影環境ですでに勝っているホラー映画だとも思う。そしてトニー(ダニーの人差し指)がその後何をやらかすのか?237号室に何があるのか?双子の少女、大量の血が溢れ出す廊下、REDRUMとは?何かが起こると連想させる差し込み映像が豊富すぎて、まるで自分で自分を追い詰めて怖くなってしまうような感覚。総じていわば“自滅的ホラー”なのかも知れない笑。同時に、今や他の色んな映画でオマージュされ、有名すぎるそんな映像に、頭のアハ体験も。
◆BGM
最近あまり見かけなくなった気がするけど、当時ここまでしつこい程全編にわたってつけられたBGMに驚く。弦楽器があれほど不気味に聞こえるものかとキリキリ響き、恐怖の映像とともに音が鳴り飛び上がる笑。“火曜日”のクレジットに合わせた音にビビった自分に笑った笑。
◆怪演
まあジャック・ニコルソンがハマり役中のハマり役。彼の半開きの目と言うか、あのクニャリと曲がった眉も含めて、顔の作りそのものから恐怖感が間違いなく倍増してる。映画のアイコンにもなっている、扉に突っ込んだ顔もそうだけど、個人的にはウェンディに閉じ込められた倉庫からウェンディに語りかける、下からのアングルの表情が夢に出てきそうなほど怖かった笑。またそのウェンディを演じるシェリー・デュバルも、なんだかホラー映えする顔してると言うか笑、包丁を持つのががなんとも似合うと思ってしまったのは自分だけだろうか笑。

◆以下ネタバレ

◆スリラー
“All work and no play makes Jack a dull boy”から始まるスリラーな後半。ジャックが圧倒的に恐怖の源と変わる展開が面白い。追われるウェンディとダニーを応援してしまうとともに、やはりジャック・ニコルソンの狂気な表情がインパクトありまくり。
◆ラスト
映像がゆっくりズームインして、飾られた写真にはパーティー会場で1番先頭に映るジャック。ジャックは元々このホテルのオーナーだった。バーで支払いを免除された意味、グレーディの顔を知っていた訳も含め、色んな伏線が回収された本作のラストは芸術的。解説を読むと、ジャックの生まれ変わりという解釈が正しいようだけど、まあこれは僕なりの解釈ということで。

40年後の世界を描いた続編が公開されるということで再鑑賞した本作。いやーやっぱり上質なホラー&スリラーでした。再来週の公開が楽しみ!
◆トリビア
○内容が原作とかけ離れたためキングがキューブリック監督を批判した。(https://eiga.com/movie/14352/)
○ハロランとダニーがキッチンで話すシーンは148テイクの撮り直しが行われた。キューブリック監督は何十回もテイクを撮り直す人で、ウェンディ役のシェリー・デュヴァルは一度完全にブチ切れた。(https://filmaga.filmarks.com/articles/2270/【ネタバレ解説】映画『シャイニング』主人公ジャックの正体、ラストシーンの意味を徹底考察)

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