note

シャイニングのnoteのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
5.0
スティーヴン・キングの小説を映画化したスタンリー・キューブリック監督作品。
冬の間ホテルの管理人を任された家族三人が様々な怪奇現象に遭遇し、精神が蝕まれた小説家志望の男が家族を惨殺しようとする恐怖を描いたホラー映画の傑作。
本作の魅力は、なんと言ってもジャック・ニコルソンの怪演だ。
薄気味悪い笑顔はすっかり悪霊に取り憑かれた闇を感じさせる「鬼畜」としか言いようのない恐ろしさ。
他の誰にも真似はできないし、本作の代名詞となった斧で扉を破るシーンは、映画史に刻まれる名場面だ。

また恐怖に恐れ慄く顔がとても似合う妻役・シェリー・デュヴァルと、淡々とした表情で超能力によって恐怖を察知する子役のダニーの対照的なキャラクター設定も、サスペンスを盛り上げる効果を生んでいる。

説明し過ぎないセリフ、時空を行き来する場面転換、謎の登場人物(幽霊たち)が様々な考察を生み、想像力を刺激する。
同時に現実を離れた世界で身の危険を予感させる。
また、ジャックが一心不乱にタイプライターで打った文字には背筋がぞっとする狂気がくっきりと浮かび上がっていて、小道具一つをとっても心理的恐怖を煽る。
なぜ?どうして?と明確な原因がハッキリ分からない所がイイ。

逃げ場の全く無い閉塞的な環境で、どんどん追い詰められて行く恐怖。
得体の知れないモノにジワジワと取り憑かれていく恐怖。
この2つの恐怖において、この作品に叶うものは無い。

時間すら凍結したホテルだからこそ、現在でも全く古さを感じさせない。
自粛下での家庭生活、またはテレワークで息苦しさを感じるコロナ禍の現在、意外と身近に感じる閉塞感かも知れない。
まさに時代を超えるホラーの名作。
note

note