湯っ子

河童のクゥと夏休みの湯っ子のレビュー・感想・評価

河童のクゥと夏休み(2007年製作の映画)
5.0
10年ぶりに観た大好きな映画。
クゥとコウイチが遠野へ旅行するところまでは、本当に楽しい。クゥは可愛いし、コウイチ家族のリアルな描き方にも笑ってしまう。
遠野の川で、クゥとコウイチが泳ぐシーンがとても気持ち良い…クゥが河童ならではの能力を使うときにはガムランの音楽が流れるのだけど、
この川のシーンでもとても印象的に使われている。 

遠野の旅行から帰ってくるあたりから、雲行きは怪しくなり…
河童がいることが周囲に知られ、マスコミに追いかけられることに。
テレビ番組の収録中、父の腕を持って逃げ出したクゥを追いかける人間、好奇の眼差しを向ける人間、恐れおののく人間…
人間の愚かさ恐ろしさを感じるシーン。
そして、クゥを守ったあげく、命を落とした犬のおっさんのエピソードは涙なしに観られない。
おっさんの最後に思い浮かべる光景…犬という生き物の忠実さ、健気さに胸が締め付けられた。

騒ぎが過熱する中、クゥを呼ぶ一枚の葉書が届く。住所はどうやって調べたのかな?キジムナーのおっさんの不思議な能力か。
コウイチとクゥが初恋の女の子のところを訪ねるエピソードも良い。
別れのシーンの美しい夕焼けも印象的。

そしてクゥは沖縄へ!
このラストの解放感、爽快感、安堵感。
クゥは人間の恐ろしさを身をもって体感しながらも、コウイチ家族やキクチとの出会いで、人間って悪い奴ばかりじゃないと思ってくれている。
キジムナーのおっさんに、人間に化ける方法を習って、いつかまたコウイチ家族の住む東久留米に遊びに行くんだろうな。
湯っ子

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