浅野公喜

暗闇にベルが鳴るの浅野公喜のレビュー・感想・評価

暗闇にベルが鳴る(1974年製作の映画)
3.7
古い方の「ロミオとジュリエット」でお馴染み、オリビア・ハッセー主演の女子寮で起こる惨劇を描いたサスペンスホラー。80年代以降雨後の筍の如く作られるスラッシャー物の元祖的存在の作品だとか。

この手の作品ならもう少し無駄な部分を省きより上映時間が短めでも良かった気がしないでもないですが、派手な特殊メイクを使わず演出で上手く魅せている所は秀逸と言えそうで、冒頭で窒息死した女学生が終始屋根裏の窓際で袋を被せられたまま揺り椅子で揺れてる所だけでも良い雰囲気出てます。加えて犯人視点のアングルを用いつつその犯人がギャーギャー喚きながら部屋を荒らす所も時代を考えれば斬新且つ迫力が有り、貞子っぽい犯人の眼だけ写しつつ顔を影で隠すライティングも凝ってます。

ものまね芸人並みに一人で声色を変える犯人(Imdbを見ると監督のボブ・クラーク含め何人かが声を担当している模様)は「怖面白い」ですし、最後まで犯人の正体はよく分からないのですが、エンドロールのベルだけ鳴り響く所含め謎を残したまま終わる所がより不気味さを際立たせているというか、この手の作品にとっては良い方向に働いている気がします。

余談ですがオリビアはアキラ・フセとの離婚後再婚するわけですが、その相手はこれまた歌手で知る人ぞ知る80年代のキーボード主体のハードロックグループ、ジェフリアのボーカルだったデヴィッド・グレン・アイズレー。そしてジェフリア唯一の大ヒット曲は奇しくも「Call To The Heart」と電話繋がりです(エンディングの電話は未来の夫からの電話と解釈するのもアリか!?)。
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