磔刑

暗闇にベルが鳴るの磔刑のレビュー・感想・評価

暗闇にベルが鳴る(1974年製作の映画)
4.1
「リンリン♬ハローFilmarks」

いやー気味悪いッス🥶
演出自体はベタ中のベタで今の時代じゃ珍しくもないけど、誇張し過ぎて嘘っぽくならず。かつ、恐怖演出として強烈な印象が残るギリギリのラインを攻めてて、凄く良いバランスのホラー・ムービーに仕上がっている。
犯人の主観や、電話越しの声、最後まで判明しない犯人の動機、人物像。それらの“謎”が映像以上の恐怖感を生み出す効果を果たしている。
今でこそホラー界は血飛沫や、クリーチャー、悪魔、猟奇映像と言った視覚的な恐怖、痛みを前面に出す事で、鑑賞者の恐怖を引き出す事が当たり前となっている。しかし、今作のような直接的な恐怖、痛みを見せず、肝心な部分を謎で包む事によって、恐怖増大させる繊細かつ大胆な演出。それは安直、愚直な演出を好む現代の監督達が見習うべき巧みな手法だし、それら安っぽい手法に満足している観客のセンスを養うには十分過ぎるホラー映画の教材的作品と言っていいだろう。

個人的にサスペンス映画で一番大好きな『暗くなるまで待って』と『羊達の沈黙』で共通して描かれる恐怖。“姿の見えない犯人”と、“人が本能的に恐怖を抱く闇”。その二つの不可視をリンクさせ、恐怖を増長させる部分も良く似ていて、それも自分の琴線に触れる一因だと思う。
今時、珍しいぐらい清々しいド直球なバッドエンドもまた美しい。最後に鳴るベルが最高🥰

欠点を挙げるならいくらんでも犯人の存在に気づかなさ過ぎでは?とか、警察が来ても屋根裏を調べないのは無理があるんじゃないか?とか、色々脳裏に過ぎりはするが、その程度のご都合主義は許してあげる😘と思えるぐらいには全体の演出が冴えてる。

大体、邦題ってゴミクソセンスのないタイトル付けるけど、今作は超秀逸。
磔刑

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