ハレンチ学園在学生

鰯雲のハレンチ学園在学生のネタバレレビュー・内容・結末

鰯雲(1958年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

成瀬初のカラー作品。山の緑、田畑の土、トラクターの赤どれも美しい。脚本は橋本忍。淡島千景と木村功の不倫劇が一応は中心となるが、テーマは農家の因習による家族劇で、姑と家に縛られる嫁(淡島千景)、本家の長男(小林桂樹)の嫁(司葉子)取りに際しての本家(中村鴈治郎)のプライド、本家と分家の格差による婿取りと嫁入り(水野久美)の問題などが並行して描かれる。さすがにうまくまとまっているが、なかなか気が滅入る話で成瀬らしいユーモアも見られない。ラスト淡島が不倫から吹っ切れて田を耕す姿は勇ましいが、義理の兄の鴈治郎が末息子を東京にやるために田畑を加東大介に売ってしまう終盤の挿話を考えても農家の今後は暗いだろう。