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地に堕ちた愛 完全版のT0Tのレビュー・感想・評価

地に堕ちた愛 完全版(1984年製作の映画)
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2024.4.28 33-44

館で行われる演劇を巡っていかに「演出」においてイニシアチブを握り、お話しを進めていくのか、このゲームが展開される。マジシャンであり幻覚(未来予知?)を見せるポールが最終的に演出家としてのイニシアチブを握るのだが、2人の女優はアドリブを企て、ポールのストーリーラインを撹乱する。『セリーヌとジュリー〜』と似たような話だが、対立構造はこちらの方が明確。

もう一回、稽古までの5日間で、お互い何を話し、何が起きたのか確認したい。最初の設定と最後のゲームに引っ張られすぎて話がうまいことつかめなかった。

シャーロットとエミリーは、それぞれ演出家(ロックなんちゃら)とポールとその間にいた女性(名前忘れた)のかこの出来事に関する物語を演じさせられることになる。シャーロットは、初めその女性の分身として演出家に恋するが、稽古が進むにつれポールとの距離が狭まっていく。エミリーは、ポールと関係を持っていたが、1人自立していく。しかし、最後はむしろポールが略奪した演劇を演じることとなり、幻覚で見た通り、卒倒する。実は、シャーロット以上によくできた俳優なのか。

マジックやトリックのように突然人が現れ、消えていく。演出・脚本において、この「消えることと登場/復活」は、この映画のテーマとなる。埋められ、バラバラになったはずの天使の像が復活する。よく考えれば、お手伝いさん的役割をやっていたあの男性が、ポールが消したものを復活させている。
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