イペー

狼の血族のイペーのレビュー・感想・評価

狼の血族(1984年製作の映画)
3.5
狼ティーン !

ニール・ジョーダン監督二作目。
グリム童話『赤ずきん』をモチーフとしたファンタジーホラー。

ロザリーンはベッドでスヤスヤ。
夢の中の彼女は中世の村娘。
お姉さんが森で狼に襲われ、変わり果てた姿に…。

村の外れに住むおばあさんが、ロザリーンに語る昔話。

「つながり眉毛の男には気を付けなきゃダメなんよ…狼に…狼に変身すっかんね!」

「…ふーん」

少女から大人へと変わりゆくロザリーン。
目覚め始める"性"への好奇心と不安。
彼女が微睡みの中、出会うもの。
狼たちは敵なのか?味方なのか?
それとも…?

実は本作、まだ小学校に上がる前に父親にムリヤリ観させられた結果、とあるシーンがトラウマになっておりました。

心に抱えたシコリを解消するべく、当時の父親の年齢に近づいた今、改めて鑑賞した次第です。
記憶の糸を辿りながら、行き着いた問題のシーン。

つながり眉毛の男が自らの手で皮膚を裂き、赤黒い肉を露わにしながら、おぞましい獣の貌が画面いっぱいに!
蘇る幼き日の恐怖、無意識に口をついて出た言葉。

「ス、ステキ…‼︎」

人狼映画は数あれど、ムクムクと毛が生えて変身するパターンがほとんど。
本作の場合、人の中からオオカミが出てきちゃうんですよ、ズッルズルのヤツが!

作品自体の完成度は微妙です。
入れ子構造もあまり効果的とは思えないし、イメージだけが先走ってストーリーもゴチャゴチャしてます。

結果として、その強烈なビジュアルのインパクトばかりが記憶に残るワケです。
ズッルズルのヤツが…!

形の整った作品とは言えませんが、どこかに歪な美しさや、退廃的なエロスを備えているのも確か。

思春期の少女特有の危うさを、そのまま密封したかのような妖しいムードに満ちていて、まさしく "異形のメルヘン" !

そりゃあ子供心にはコワかったでしょう。
"面白い映画=好きな映画"
当たり前の等式が成り立たない、そんな因果な大人になってしまった原因のひとつには違いない!

…とはいえ、自分が子供の頃、ホラー映画ってもっと身近なものだった気がします。
ゴールデンタイムに『13日の金曜日』シリーズとか普通に放送してたし、結構グロい予告編とか地上波CMでバンバン流れてたなぁ…(遠い目)
イペー

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