毎年新作を放送するNHKの戦争史実題材ドラマの劇場版。
(本年放送された『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』も、名作だった。まだNHKプラスで無料で見られると思うので未見の方はぜひ)
プロパガンダを国民に浸透させるのに「放送」はうってつけ。ラジオから流れる戦況の順調さにスポーツ実況と同じように人々は歓喜しただろう。最初の内は。
主人公は苦悩するが、あの時代、自分たちもお国の役に立っていると思い込み、本気でお国のためにアナウンスしていた方々は多かったと思う。
いつの間にか国策の協力者になり、戦後、自分たちがやったことへ大きく後悔する。
あの時代の国民は洗脳されていたし、正しいことを叫ぼうとすれば暴力で制御された。
現代人はあの人たちを責めようとは誰も思わない。
こういう作品を見たら、現代人の私たちは「放送がばら撒く真実」が真実なのかどうか考えるべきだと学べばいいのだと思う。今なら、もちろんネットも。
毎年見ているNHKスペシャルだけれど、内容を確認したくて見に行った。
アナウンサー役の皆さんの迫力ある演技と、当時のアナウンサーの特徴を掴んだそれぞれ個性ある語りを楽しめた。良作。