ぽち

麻薬密売人 プッシャーのぽちのレビュー・感想・評価

麻薬密売人 プッシャー(1997年製作の映画)
3.6
リメイクより数段味のある内容で、余韻の残し方も素晴らしい作品。

リメイクをオリジナルと勘違いして、トリロジーの2と3を先に観てしまったのだが、このトリロジーはつながりはあるものの全作独立していて、それのみで観ても全く支障のない珍しい造りとなっている。

普通はつながりを前面に出したくなるところだが、それに頼らずに各作品の品質をこれだけハイレベルに出来るのは、脚本も担当した監督の力量と言っていいだろう。

また、トリロジーなどはパワーダウンしていくのが常だが、今作は逆に後の方がこなれていてよりレベルが上がっているのも珍しい。

マッツのデビュー作ということで、彼も少し浮ついた演技ではあるが、チンピラキャラに合っていて気にはならない。

トリロジー全部に言える前半の軽いノリから徐々に締め付けられるような閉鎖感が覆いかぶさってくるストーリー展開は見事で、そこにこのラストシーン。記憶に残る良い終わり方だろう。

つながりはほとんどないとはいえ、三本続けてみるといっそう監督のカラーを楽しめるので、これから観る人は全作続けて観ることをお勧めする。

あ、filmarksさん。「麻薬密売人 プッシャー」って邦題はただの「プッシャー」に直したほうがいいのでは?



余談。
3作目で後半においしい所をさらっていった部下のラドヴァン。今作で「レストランを経営するのが夢」ってのが伏線になっていたんだな。

出演キャラ全部どうしようもないダメ人間だが、ラドヴァンだけは「忠誠心が厚い頼れる男」として描かれていて、良いキャラだろう。彼のスピンオフとか作ったらおもしろくなりそうだ。
ぽち

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