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メキシコ万歳のryosukeのレビュー・感想・評価

メキシコ万歳(1979年製作の映画)
3.7
短編のモキュメンタリ―と物語映画を組み合わせ、更にそれを編集者自身が紹介するというメタ的な構成になっている。期待していたほどではなかったが、まずまず満足した。
ハンモックと首飾りの多重露光、動物のつがいとカップルのモンタージュなど類似性を強調するカットが印象深い。人がぞろぞろと並んでいるようなショットも多い。
また、遠近法を強調するかのようなショットが面白い。しゃれこうべや現地のでかい植物を手前に配置したり、人物を手前、ピラミッドを奥に配置して対象の大きさに違和感を感じさせたりする。
闘牛シーンはかなり迫力がある。牛視点のショットは偽物の角を使って撮っているのだろうが、前述したようにメタ視点を冒頭に入れているので嘘くさくはならない。
地主と彼らがこぼした酒に群がるハエ、家畜のモンタージュによる搾取の表現、サボテンに隠れた銃撃戦はエイゼンシュテイン節が出ていた。処刑シーンのモンタージュもとても印象的。
しゃれこうべマスクを被った骸骨が強烈。ナレーションによれば死すべき階級を表しているらしい。
子どもがしゃれこうべのお菓子を齧っている様子が面白い。

再見 早稲田松竹 2019/1/14
35mm 日本語字幕投影 3.7→3.7
ピラミッドやサボテン(正確には竜舌蘭らしい)、鋭利な葉の植物によって織り成される直線の集合が画面を分断するイメージが力強い。
初鑑賞時と同様、インパクトがあるシーンと緩慢なシーンの差は激しいという印象を持った。結局初鑑賞時に注目した部分を見直した感じ。
やはり地主と農奴の戦いを描いた劇映画パートが良い。単純な面白さ、遠近の差を強調した構図、得意のモンタージュとどれに関してもこのパートが一番優れている印象。殺し合いの後に普通にマリアが解放されており何のための戦いだったのか。サイレントの映像に不気味な電子音が重なると妙な気分になるな。
ラストのしゃれこうべと観覧車と踊る人物の脚の取り合わせも面白い。死を嘲笑うという祭りの趣旨を的確に示す画。死ぬまでにその境地に至りたいものだ。
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