ハル

愛されるために、ここにいるのハルのレビュー・感想・評価

3.8
ジャン・クロードは50歳の冴えない中年オヤジである。執行官と言って、家賃滞納者に裁判所の命令を通達する仕事をやっている。とてもじゃないが、やりがいのある仕事とは言えず、本人も嫌々ながらやっているフシがある。そこへ持ってきて、毎週日曜日には、老人ホームにいる父親と顔を合わさねばならず、ストレスはますます募るばかりだ。

そんな中、医者から軽い運動を薦められたクロードは、事務所の真向かいにあるタンゴ教室に通い始める。そこで、高校の進路指導員をやっている女性・ファンファンと知り合い、ひょんなことからただならぬ関係になる。

50歳にして訪れた老いらくの恋は、愛に飢えた中年男に潤いをもたらすかに見えたが、後にファンファンには婚約者がいることが発覚する。


フランス映画はとっつきにくいイメージがあるが、この作品は非常に分かりやすい。脚本が素晴らしくて、舞台をそのまま日本に置き換えても成立しそうだ。笑えるところもあるし、切ないシーンもある。ただ、結末だけは、まことにフランス映画らしい。タンゴのステップのように、二人の恋が成就するのを、願いたくなる。
ハル

ハル