クシーくん

ミネソタ無頼のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

ミネソタ無頼(1964年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

初期のマカロニ・ウエスタンとの事だが、意外なほど面白かった!この時期はマカロニ末期と違ってまだまだクオリティ高いのかな。

何十年も懲役刑に服していた元凄腕のガンマンが己の無実を証明する為に脱獄、かつての故郷に帰り騒動に巻き込まれていくという話。

主人公のクレイが長年の過酷な生活の為に目を患って失明寸前(盲目ではない)の状態にある、という設定が一味違う魅力である。
この設定自体がストーリー上活かされる訳ではないが、最後のアクションで他にはない独自性高いガンプレイを生み出している。酒瓶の栓を開けた音だけで正確に敵をぶち抜く主人公怖い。確かに西部の座頭市という表現もあながち間違いとも言い切れない。裏切り者の悪女を殺す、乾いた冷酷なシーンから、チンピラの一人が戻ってきて倒れるまでのシークエンスがとにかくかっこよすぎる。

保安官になったチンピラ一味と、メキシコ人の山賊達の間で板挟みになる町の住人、そして一方に加勢するフリをしたり裏切ったりする主人公という設定を諸々見るとまるで「用心棒」の様だが、こちらはレオーネ監督作品ほど露骨ではなかったのでどうやら訴えられることはなかったようだ。

マカロニに出てくる悪役というのは本作に限らず概ねやり過ぎなくらい極悪な奴が多いが、本作はその中でも群を抜いて卑劣な悪漢。演じたジョルジュ・リヴィエールという俳優は全然有名な作品に出ていないようだが他の作品も観てみたくなる名演だ。

米版ではEDが異なり、最後の決闘シーンで終わる上に、ちょっとした悲劇的結末の様だが、これはアメリカ版より元のめちゃくちゃハッピーで終わるエンディングの方が好きだな。
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