OASIS

スウィンガーズのOASISのレビュー・感想・評価

スウィンガーズ(1996年製作の映画)
3.5
独身男性がラスベガスのカジノやナイトクラブでナンパやワンナイトラブを楽しむ映画。
映画の内容説明からも分かるように、特にこれといってドラマがあるわけでもドンパチがあるわけではないです。
90年代のジャズやロックをバックに、なんだか懐かしい田舎風景とちょっとやんちゃな若者たちの会話をのぞくというドキュメンタリー的な作品である。

若き日のジョン・ファヴローが彼女に振られたショックからなかなか立ち直れない売れないコメディアンを演じていますが、これがなかなかハマっている。
コンビであるヴィンス・ヴォーン演じる独身男が、一夜限りの遊びを楽しもうとしているのに、彼の方が同情されているのを見て「なんだか楽しくないなぁ」と気まずそうにしていたりただのチャラ男キャラで終わっていない所も良い。

友達同士で集まってするのは、「グッド・フェローズ」はスコセッシの最高傑作、「レザボア・ドッグス」のスローモーションシーンは最高だ、おまけにタランティーノはスコセッシの丸パクリだなどとてんで内容が無いような話。
と見せかけてその後「レザボア・ドッグス」ばりのスローモーションでキャラクター達がキメ顔で歩いたりして、パロディもしちゃうという、タランティーノ大好きアピール。

親友同士の会話も内容が無いように見えても、実は決して彼女に振られた事を馬鹿にしたりせず、しかも決して良くは無い外見や性格も蔑んだりせずに励まし続ける男たちの静かで熱いエールがある。
けれども、そんな話やアドバイスをありがたく思いつつも自分ひとりの力でなんとかしたいというプライドに負けて、結局どちらも上手くいかない男のダメさ加減に感じる青春の痛みと傷。
しかしそれすらも受け入れていつも通りにバカ話をしてくれる。
そんな友達たちに囲まれている時間が幸せだという事に気付くのはいつの事だろうか、という話であったと思う。
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