ユミコ

けものがれ、俺らの猿とのユミコのレビュー・感想・評価

けものがれ、俺らの猿と(2000年製作の映画)
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お美しかった頃の中将氏をまた拝見したくて鑑賞。
もっと破茶滅茶な内容かと思っていたけれど、主人公の佐志(永瀬正敏さん)の心の内が手に取るように伝わった。あの切羽詰まった感、何かに追われているかのような感、居場所が無い感がヒシヒシと伝わって、こちらも何か焦るような落ちつきのない気持ちで観ていた。
佐志が何気なく行く場所やたまたまそこにいる人たち全てが何故か変テコで、どんどん追いつめられ、意味不明な生キズも増えていく。前半、佐志役の永瀬さんがぐいぐい惹きつけているな、と思いきや、中盤あたりから田島(鳥肌実さま)のご登場で全て持っていかれた感が…笑。さすがは中将さま! しかもあの超絶美の頃の…!だもの、こればかりは仕方のないこと。全てが中将氏カラーに塗り替えられていった。あの偏執狂っぷりは中将氏しか出せない。最短でも10日間は頭にこびりつくキモエグな中将氏。絶えず顔面をヒクつかせ、白目をむかれ、とびきりの笑顔でお気に入りの佐志にこれでもかとばかりに、次々と肉や野菜などを喰らわせるお姿…。田島が佐志に、一緒に俳句を詠もうと誘ったのに、もう眠いからと断られた途端ブチ切れ、バットを振り回しての怒り狂い様、そして佐志は恐ろしさのあまり、じゃあ俳句やるから!って言った瞬間から田島の狂乱がおさまり、きんもい顔面に血を流しながらも静かに俳句を(俳句の本を参考になさりながら)詠み始める中将氏。「タナカヒロシのすべて」でも同じように俳句を詠まれていた中将氏。もうこれって、田島であり中将氏ご自身なのかもしれない。本作での中将氏はまさに妖しいお美しさ、可愛らしさ、気色悪さ共に絶頂期でいらしたに違いない。
主人公の佐志よりも田島を思わせるかのようなBGMがどれもご秀逸。
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