ショー・ダンサーの仕事に生き甲斐を見いだしている2人組の女性が、ドラァグ・クィーンに変身してゲイの世界を渡り歩く。性的マイノリティの視点から自己実現を描いている、ヒューマン・コメディ。
ヒューマニズムに則った「普通の人生」を送ることができない女性が、逸脱した存在とされているゲイの人々に同調していく。ドラァグ・クィーンを題材に取っているため、サイケ調のアートワークが映像内に横溢する。
正直なところ、普通の女性がドラァグ・クィーンのフリを貫き通すのは無理があるけれども、「悶絶！！どんでん返し」（神代辰巳監督）の男女逆転バージョンともいうべき、独特なケレンミが備わっている。
何よりも、「女性としての恋愛を成就させるべきか」「ドラァグ・クィーンの運命共同体を守り抜くべきか」の二者択一へと落とし込んでいく語り口が素晴らしい。自尊心を適度に維持しながら、独自の人生を歩むことの重要性を考えさせられる。
