みおこし

人生模様のみおこしのレビュー・感想・評価

人生模様(1952年製作の映画)
3.6
アメリカが誇る短編小説の巨匠オー・ヘンリーによる5つの物語をオムニバス形式で、豪華俳優陣および当時の名監督で撮り上げた意欲作。ここまでストレートなヘンリーの映像化作品は比較的珍しいと思うので、英文学専攻の方は特にオススメです。

【1.警官と賛美歌 / 監督:ヘンリー・コスター】
とあるホームレスが行き場を失い、厳しい冬を越すためにあの手この手で逮捕されるべく様々な罪を犯すが...。名優チャールズ・ロートンがホームレスの悲哀を時にコミカルに演じています。某シーンで号泣する場面が悲しいはずなのにちょっと滑稽に見えて笑っちゃう(笑)。いつの世も賛美歌は人の心を癒し、律するものなのだとしみじみ。デビュー間もないマリリン・モンローも出演!

【2.クラリオン・コール新聞 監督:ヘンリー・ハサウェイ】
善良な刑事のバーニーと悪人のジョニーはかつて幼馴染だったが、とある殺人事件の犯人がジョニーだと分かり逮捕を試みる。しかしバーニーは以前彼に金を借りたままになっており、正直な性格が邪魔をして逮捕ができず...。
すごく甲高い声のいかにも悪人な笑い声を放つこの男性、他の誰でもない若き日のリチャード・ウィドマークでした!後の威厳溢れる紳士や悪役からは想像つかないチンピラっぷりが楽しめます(笑)。

【3.最後の一葉 / 監督:ジーン・ネグレスコ】
言わずと知れたヘンリーの代表作の一本をネグレスコが映像化。病に伏している若い娘が自らの命を窓の外の枯れ葉に例え、死を憂うのですが...。先日観た『ジョニー・ベリンダ』が素晴らしかったのですが、本作もウルッと来る秀逸な感動作。アン・バクスターがあまり不健康な印象がなく強い女性のイメージが強かったのが残念!(笑)

【4.赤い酋長の身代金 / 監督:ハワード・ホークス】
とある小悪党コンビが地元の有力者の息子であるわんぱく少年を誘拐。しかしこの少年、只者ではなく...。痛快喜劇をホークス節でサクッと調理!主役のレヴァントとアレンも最高でしたが、少年の両親の淡々とした演技に爆笑しました。

【5.賢者の贈り物 / 監督:ヘンリー・キング】
こちらも有名なお話。貧しい夫婦が互いのクリスマスプレゼントを用意するべく試行錯誤。展開が分かっていても思わずホロリとなるのは名作たる所以。ジーン・クレインがとにかく美しかったです。

という感じで、それぞれの監督の個性が光りつつも、ヘンリーの原作には忠実に映像化している点が素晴らしかったです。笑える話、スッキリする話、泣ける話が詰まっていて気持ちがリフレッシュできる作品でした!
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