ちろる

人生模様のちろるのレビュー・感想・評価

人生模様(1952年製作の映画)
3.8
モノクロームの世界だからこそ輝く。
O・ヘンリーの描いた、様々な人物の人生模様を垣間見れる、オムニバスストーリーズ。

①警察と聖歌
冬の凍てつく寒さから逃れるためになんとかして牢屋に入ろうとするホームレスおじさんのお話。
帽子被って割腹いい紳士風の見た目のせいなのか、悪事の限りを働いてもなかなか捕まらない。
しかし途方に暮れた男たちを教会だけは、優しく受け入れてくれ、おじさんは改心してやり直そうとするのだが・・
若きマリリンモンローがちょい役だけどめちゃめちゃかわいかったな♪

②クラリオン・コール新聞社
誠実で正直で通してきた刑事の男バーニーと、チンピラの幼なじみジョニー。
とある殺人事件の犯人がジョニーだと知って捕まえに行くことになるのだが、
バーニーは過去の貸しを盾にして逮捕させまいと抵抗する。
バーニー役の甲高い笑い声と落ち着きのなさがクレイジーでゾッとする。
清く正しく行きたいのなら、悪友とはとにかく早く縁を切ることね。

③最後の一葉
たしか、学校の授業で読んだお話だから良く覚えていた。
男と別れて吹雪の中を飛び出したばかりに肺炎になってしまった女が死の淵に立つ。
人生に絶望して窓の外のツタの葉と自分のわずかな命を照らし合わせて死を数えるのだが・・・
同じアパートに住む貧乏画家と絶望の美人姉妹。
赤の他人であったはずの3人の絆が、切ない物語を紡ぎ出す。

④赤酋長と身代金
金が欲しい2人の悪党が誘拐を目論む。
主人公たちがむかつくからこそ子どもにやり込められててんてこ舞いな悪党たちの姿が痛快だった。
アホなおじさんより、怖いもの知らずの子どもの方がよっぽど・・・
そしてJBも親と悪党よりずっと上手なやつらだらけだった。
誘拐のつもりがだんだんインディアンごっこに興じることになってしまうバカと小心者のおじさんの情けなさすぎる展開が爆笑ものでした。

⑤賢者の贈り物
クリスマスに愛する人に最高の贈り物をしたい。
その優しい想いが滑稽なエンディングに導く。
例え貧しくても、なんとかしてクリスマスだけは豪華な気持ちで祝い合いたいという事は罪ではないよね。
優しい2人のクリスマスイブのこの思い出はこの先もずっと2人の間で素敵な記憶として保管されるといいなと願った素敵なクリスマスラブストーリーでした。
ちろる

ちろる