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CURE キュアのyawaraのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.5
奇妙な共通点を持つ複数の殺人事件と、それに関わる人々の様子を描く。

作品内のほとんどのケースで犯行のプロセスが抜け落ちているのが怖い。唯一犯行が見られる警官のケースが妙に落ち着いた様子で描かれるのもまた別のベクトルに怖い。
抜け落ちは作品のあらゆるところに見られ、あの男が間宮なのか、殺人が催眠によるものなのか、古い施設と催眠の関係性はあるのか、重要な手がかりは断片的で、これらの証左は鑑賞者に委ねられていて不安を誘う。それを探らせることで、鑑賞者の気持ちを作品に吸い寄せている。
事件の共通点や物的証拠だけでは片付けられないように感じさせる構成にただただ圧倒されます。

要領を得ずイライラとさせ、暴力性を湧き上がらせるあの男の会話に作品のテーマは全て集約されている気がしました。
ビジュアルも音響も静かに陰鬱とした様子で一貫していて、プロットをさらに盛り上げている。
タイトルをCUREとしている事の矛盾も秀逸。
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