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CURE キュアのumiのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
3.3
十年ぶりくらいに二度見。最後の廃墟の病院に向かうところや、想起の映像を狂気の描写に繋げていくところは、素朴にタルコフスキーみたいだなと思った。

高部と間宮の関係は、恋愛関係にも思える。間宮を高部が殺した後、レコードで伝道者の声を聞くのは、愛するものが死んだ後の礼拝みたいだし、高部の妻がなんで立ったまま運ばれてるのかというのも、十字架に貼り付けられて高部の罪を背負ったみたいにみえる。

自分はあなたの中に思い出されるだけなんだというとき、虚構の立ち上げの能動と受動が壊れていく。人を巻き込み、自分が変わるプロセスを人が体験していく。主体がなく、関係の関節が変化するだけで、意味を劇的に変える。音や映像や説話で見事にそのプロセスを移していると思ったし、ゼロ年代以降の文芸の潮流や、映画の先駆形がここに出ていたのだったなとも思った。
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