つかれぐま

CURE キュアのつかれぐまのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
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日常に潜む(隣り合わせの)非日常。このテーマは黒沢清が第一人者だな。今や日韓のエース、濱口竜介とポンジュノもその影響が大きかったと語り、後者は本作を『殺人の追憶』の参考にしたそうだ。

仮タイトルは「伝道師」。
これだとネタバレにもなるので、変えてよかったんじゃないかな。つまりラストは間宮から高部へ「その役割」が継承されてしまったのか。しかも権力と結びついた「怪物」に。空っぽな男・間宮の目的は、殺人ではなく、狂った自分に変わる「伝道師」の器を探し彷徨っていたということ。高部に辿り着くまでの「候補者」は、その器ではなかった。これ『ヘレディタリー継承』と同じ構造だ。怖!

悩みや不満を口に出して吐き出す。
一般的にそれは精神衛生上良いとされているが、本作では逆に最悪の結果を招いてしまう。やはりそういうことはグッとこらえて腹の中にしまっておかないと。聞くほうも「傾聴」はほどほどで。間宮につけこまれた男女の凶行に、近年SNS上での誹謗中傷やカスタマーハラスメントといった現実が重なった。