矢野竜子

CURE キュアの矢野竜子のレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.5
早稲田松竹にて。何十年ぶりに見た。
たしか初見は大学時代に授業で見せられて、
画面遠すぎ+画質悪すぎで
ラストなにが映っているのか判別不明だった。
心に闇を抱えた人々を
次々に解放させていく伝道師。
この萩原聖人のキャラクター性は
黒沢清作品イチと思われる。
「心の闇=呪い」の共鳴、伝播、そして後継へ。
消される明かり、灯されるライター、
点けたり消されたりする洗濯機など
なにかのきっかけで簡単に何かが変わる様が
本編中何度も登場するが、
その延長線上に人間もいるのだから恐ろしい。
灯りのスイッチのように
機械的に突然なにかしでかす怖さ。
世界が壊れかかっている最中で終わる
切れ味の鋭さも惚れ惚れする。
そしてなによりロケーションの素晴らしさ。
舞台は間違いなく世紀末の都内のはずなのに
スピッツのMVのあの建物を筆頭に
別次元が立ち上がる。