ちろる

男性・女性のちろるのレビュー・感想・評価

男性・女性(1966年製作の映画)
3.8
ひたすら語り合うが噛み合わない男女。
同じ時代に生まれた若者なのにそれぞれの抱える大切なものや思想が全く異なる故にまるで違う時空から来たようでもある1965年のパリの若者たちのリアリズムをコラージュ。
映像はどのシーンも実にポップかつ、センセーショナルなのだがそれがまるで日常の一ページかのように流れていく半ば冷めた視点がシュールである。

後期のゴダール作品のような共産思想ゴリゴリの理屈っぽさは抑え目で、ドキュメンタリータッチの当時の等身大の若者たちを通してやんわりと資本主義の社会を風刺しているので観やすい本作。

ジャン=ピエール・レオーとシャンタル・ゴヤのあまりにナチュラルな演技が作品に溶け込んでいて、なんか知らないカップルを、覗き見してる気持ちに。
キャラクターがハマりすぎてましたね。
低予算ムービーですが、それが気にならないほど、カメオ出演がいつにもましてゴージャスで、フランソワーズ・アルディ、ブリジット・バルドーの他にもバルドーといっしょにカフェにいる男性役には、『5時から7時までのクレオ』に出たアントワーヌ・ブルセイエ
地下鉄の中の女性にはシャンタル・ダルジェ、いっしょにいる男役にモーリタニア系フランス人映画監督のメド・オンド。
またスウェーデン映画の中の女は歌手のエヴァ=ブリット・ストランドベルイ、イングマール・ベルイマン組の常連俳優ビルイェル・マルムステーンなども登場している。
ので、流石ゴダール作品である。
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