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青銅の基督のRenkonのレビュー・感想・評価

青銅の基督(1955年製作の映画)
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「基督」をキリストって読むことすら知らんかった。
つい先日遠藤周作の「沈黙」を読んだばかりで(ミーハーでしょ?)沈黙にも出てきた転びバテレンのフェレイラが今作にも出てくるとの事だったので「トゥルーロマンス」を蹴ってこっちを観た。
キリシタンに対する当時の幕府の弾圧は調べてみればみるほど酷いもので、隠れキリシタンは「穴吊り」という穴の中で宙吊りにされる拷問を受け、捕縛された宣教師は神への信仰自体を自ら否定させるために「転ぶ」よう追い詰められていた。

宣教師の中にも最後まで信仰を捨てず、結果命を落としたものもいたそうだが、フェレイラは様々な責め苦を与えられた末最終的に"転んで"しまう。
命も助かり一転厚い待遇を受けるフェレイラだったが、実はここからが本当の地獄で、マゲを結って沢野忠庵という名を与えられた彼は、隠れキリシタン断絶の手助けをさせられるのだった。
それまで「神父様」と崇められていた彼にとっては正に生き地獄。
こんなおぞましい事が、実際にこの国に存在していたという事実に対し心底恐ろしいと思った。

フェレイラを演じたのは滝沢修。
まぁ彫りが深くて、一瞬マジで日本語のうまい外国人俳優かと思った。
沢野忠庵になった辺りから微妙に悪い顔に変化していく機微の表し方が絶妙にうまかった。

正直踏み絵を作製するシーンで居眠りしてしまったのだが、登場人物がバッタンバッタン張り付けされるシーンが圧巻。

ちょっと近い背景で作られた映画だと「徳川SEX禁止令色情大名」を想起したけど、それ以外で関連のオススメ作品があったら教えていただければと思う。

(@シネマヴェーラ/2015.7.8)
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