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戒厳令のbennoのレビュー・感想・評価

戒厳令(1973年製作の映画)
3.7
コスタ=ガヴラス監督『政治3部作』の最終作…コンプです…。

『Z』ではギリシャ…『告白』では東欧が舞台でしたが…今作は南米ウルグアイ…アメリカの介入をバックに起きた政治事件が題材になっています…。

1970年…南米ウルグアイのモンテビデオ…。

ある朝…イタリア系アメリカ人のサントール(イヴ・モンタン)とブラジル領事カンポスが都市ゲリラの革命グループ、ツパマロス(MLN-T)に誘拐、拉致されます…。

新聞記者カルロス・デュカス(O.L. ハッセ)は曖昧な受け答えしかしない政府側に疑問を感じ、単独で調査に乗り出します…

…サントールは国際開発機関の交通・通信部担当の技師…カンポスは要人だが、何故一般市民のサントールまでが誘拐されるのか??

それはすぐに明らかになります…彼はアメリカ国家の命により、ウルグアイ政府と手を組んで進歩的左翼勢力を弾圧する目的でこの国にやって来たのです…。

サントールの指揮下でロペス大尉、ロメロ大尉を中心とした暗殺団を結成、秘密裏に革命勢力を撲滅しようとしていたのです…通称"死の中隊"…暗殺、スパイ活動、拷問…あらゆる非道な手段も厭いません…。

構図そのものは至ってシンプル…

『死の中隊 vs ツパマロス』

ツパマロスは24時間以内に捉えられた多くの政治犯を解放しなければ、サントールを処刑すると最後通告…。

政府の反応は…??

ドキュメンタリータッチでエンタメ性は低いですが…戒厳令の敷かれた町の雰囲気の不気味さやカット割のカッコよさに惹きつけられます…音楽は『Z』のMikis Theodorakis(ミキス・テオドラキス)…とてもキャッチーで耳に残ります…。

人間描写も素晴らしく、特に面白かったのは尋問シーン…と言うよりはツパマロスの一員(覆面をしたまま)とサントールのお互いを探り合うような駆け引きの会話シーン…緊迫感もあり目が離せません…。

« Je voudrais savoir pour quel type de civilisation croyez vous combattre? »
君たちはどんな社会を目指して戦っているんだ?

ー « C’est une faiblesse, disons une civilisation l’existence gens comme vous n’aurez pas de sens. »
あなたのような存在が意味をなさない弱い社会ですよ

つまりテロリストが理想とするのは軟弱な政府…っს

ひとつ気になったのは…何故イヴ・モンタン?? しかも言語が仏語…ちょっと違和感っს

3作通して作品はそれぞれ面白かったですが、やはり時代背景諸々知っていたら…もっと楽しめたと思います…でも貴重な作品が観れて…良き⌯♡ྀི


✎︎ YouTube (仏語音声、英語字幕)ですෆ*
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