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ファーゴのtoriten45のレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.5
犯罪もので怖いんだけど、なんとも言いようのない可笑しさがツボってしまい繰り返し鑑賞してしまいます。小心者で優柔不断なおじさんが起こした偽装誘拐がとんでもないことに発展する話。時折り差し込まれる抜け感ある笑いは大好物。独特の間(ま)が絶妙なのかしら。コーエン兄弟監督作品の中でも一番ハマっちゃっています。

例えば、この小心者おじさん(ウィリアム・H・メイシー)の物悲しい顔がその一つ。哀愁漂う顔つき→言い訳重ねる惨めさ→支店長執務室のポートレイト写真のアップ、って流れが私のツボを直撃してきます。

それと警察官マギーがレストランで再会する「アイムソーロンリー」って叫ぶ日系人とのくだりでも笑っちゃう。ここ、本筋と関係ないエピソードで、「?」ってなっちゃうんですが、蛇足と思われるシーンでさえも心の闇が見え隠れして作品全体のダークさを高めるいい味付けになっていると思いました。

物語はこのおじさんが借金の穴埋めに偽装誘拐と巨額投資の2つの計画を企てます。そしてどっちも想定外の方向に進んじゃう。徐々に行き詰まっていくジェリーのその場しのぎの言い訳。観ていて大丈夫かなー…ダメだろうなー、って親みたいな気分にさせてくれる。

やがてとんでもないことにへと発展するのですが、捜査を担当するのが女性警察官のマギー。コーエン兄弟作品でおなじみ?のフランシス・マクドーマンドが演じます。身重でお腹が大きいのですが、仕事ぶりは周りからも一目置かれているようでたくましい。彼女の周りのみんなが頼りなさげな分だけ、彼女が頼もしく見える。

何回観ても面白い。
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