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暗黒街の女の堊のレビュー・感想・評価

暗黒街の女(1958年製作の映画)
3.6
シド・チャリシーがロバート・テイラーの治療元へ駆けつけたシーンで扉を映しておきながら「そこ」ではなく後ろからロバート・テイラーが現れ、さらに「待ってて」って言いつつゆっくりと歩いていく二重のフェイントがキマっていて美しい。『ビガーザンライフ』のリュミエールっぽい学校の入り口の扉を否が応でも思い出させる(『ビガーザンライフ』が二年前)。時計へのこだわりや演劇のような裁判に『暗黒への転落』のハンフリー・ボガートを思い出すも挿入されるミュージカル(とその色彩)にそこまでノレず。もうすでに『エヴァグレイズ』の時点で酒・薬による奇行で現場をパニックに陥らせていたはずのレイがかなり完璧に演出をこなしてることには感動してしまうがさすがに『大砂塵』『夜の人々』『ラスティメン』には及ばない。青山真治やヴェンダースがベストに挙げている真の傑作にして「最後」の作品である『バレン』を日本でみたいのう……
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