菩薩

パサジェルカの菩薩のレビュー・感想・評価

パサジェルカ(1963年製作の映画)
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肉体的には自由に相手を抑圧できる側にいる人間が、精神的には被抑圧側に回らねばいけない状況を、アウシュビッツの極限状況下で、なおかつ女性同士でやろうとしているのだから面白い。己の人生の満たされなさを相手を意のままに屈服させる事でどうにか補おうとしたって、一人の人間の、その精神の根底をも支配するなど到底出来るはず無い。その想いはエゴであると見抜かれてしまえば、もはや伝わる訳も無く、募る嫉妬が更に本人の心を腐らせていく。勝利の確信は敗北への傷跡に変わる、消えぬ罪悪感に苛まれ、リザはマルタの影を追い続ける。
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