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『パサジェルカ』に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

3.9
罪悪感か願望か

アウシュビッツ強制収容所。気になる女囚を絶対に屈服させたい女看守と何をしても絶対に屈服しない女囚の水面下でのバトルを描いた心理映画。監督のアンジェイムンクが本作の撮影中に39歳の若さで亡くなられたため、有志がスチール写真やナレーションを用いて補完した未完の傑作とされてるやつ。

初アンジェイムンク。豪華客船に乗ってドイツに10年ぶりに帰国する航路。かつて強制収容所で処刑された女囚と瓜二つな人物をイギリスに寄港した際に目撃する。彼女は死んでいなかったのか?それとも別人なのか?っていう『めまい』的な導入。そんな主人公(元女看守)が現代からアウシュビッツ強制収容所時代を回想するように展開するのだけど、現代については映像がなく、全て静止画のスライドショーとナレーション。

当然それは監督の意図していないことになるわけだけど、静止画スライドがむしろ感情を的確に際立たせている箇所があって、映画って24フレームの静止画の繋ぎ合わせなわけだから、その映画としての制約とも呼べる接着性を排除することでアクセントとする…的な映像表現になってしまっているのが何か凄い!これこそ表現における損失と利益だし、本作特有の表現物になってしまってる気がする。

未完なために女看守と女囚マルタの関係性と顛末については何も描かれない。過去回想についても2バージョン存在し、主人公である女看守が現在の夫に良いカッコしようと思って語る「女囚を自由にしてあげようと思って私頑張ったの👍」バージョンと、独白する「実は全部自分の出世のためだったの🤪」バージョン。前者→後者の順番で見せられるのだけど、前者の際には主人公は2回だけ、しかも鏡像でしか姿が映らないことに真意でない意図を汲み取れる。

数多いる女囚の中からなぜマルタを選んだのかは視線によって示唆され、他ほぼ全員が主人公を睨みつけているのに対してマルタは明後日の方向を向いている。目線を主人公に向けることで看守に怒りを抱いていることを実感させるわけだけど、目線による双方向コミュニケーションというか、怒りを抱くこと=主人公の支配下に置かれてることの証左であるため、支配-被支配の確立が既に成っているからこそ主人公はその他大勢に興味を抱かない。

明後日を向く=支配が成っていないからこそ、屈服させることに主人公は躍起になっていく。そして自分が愛国心と引き換えに捨て去ってしまったものをマルタが全て持っているように思えてくるために妬みも加わり、人生における取捨選択の結果ある「今」をマルタの存在が否定しにかかっているように思えるからこその精神と精神、生き様の対決のようにも見える。

更には好意すら感じ取れ、結果的に「マルタを自由にしたい」は本心のように思えてくる箇所があったりもするから物凄く複雑な心理状況。マルタはイギリスに情報を流してたわけで、そのイギリスで現代にマルタを見つける…というのは罪悪感だけなのか、現実逃避的な願望でもあったのではないかと思えてくるからすんごい面白い。これ全部撮影されていたら多分感じ方が全く変わってくると思うし、意図せずに生まれた怪物って感じの映画だなって思った。
TS

TSの感想・評価

3.0
短文感想 70点
アンジェイ・ムンク監督の遺作。遺作なんですが未完の作品でもあり、なんとその後に友人たちが再編集して何とか一つの作品にしたというもの。とは言っても監督が途中で亡くなっている以上、完全な作品とは言えず尺も61分とかなり短くなってます。内容はアウシュヴィッツにおける女囚と女看守の心理戦を描いたもので、虐殺描写はほとんどなくともやはり終始おどろおどろしい雰囲気が流れています。ほぼ回想シーンではあるのですか、印象的なシーンも多かったと思います。良作だと思うのですが、やはり事情も加味してスコアはこれくらいに。
戦後ポーランド第三世代、所謂ポーランド派の一員であるアンジェイ・ムンクの遺作であり、未完の作品。
彼の遺した脚本と撮影素材を基に、友人であるアンジェイ・ビジョゾフスキを中心に構成、作り上げた作品である。

鑑賞前での認識では『戦争犯罪と個人責任』が主題かと考えていたが、それは誤りであり、鑑賞直後の現在では『ホロコーストを巡る心理的葛藤、加害者の自己正当化』及び『圧倒的優位・下位の立場に有る二人の関係に、強い結び付きが得られるか否か』が主題では無いかと考える作品である。

本作の舞台は現代の船上と戦中のアウシュヴィッツの二箇所であり、前半は船上のドイツ人女性・リーザによる夫への告白、後半は彼女の独白によって進行するが、戦中アウシュヴィッツの回想映像に於いてもホロコーストそのものの是非を問う物では無く、虐殺そのものも暗示的に描写されるのみである。
それは一見、戦争犯罪に間接的に関与し、従事しながらも『私は悪くなかった』と責任から逃避している様に見受けられる。
またもう一人の主人公である女囚・アンナに関しても、終始『命を救ってやった』との優越感が垣間見える。
最早その真意を訊く事は出来ないが、ムンクの企図としてのテーマの第一は此処であろう。

本作は"現在と過去との断裂"と云う観点から観ても興味深く覚える。
現在のシークエンスは未完である故、スチル写真+ナレーションによって進行するが、過去のアウシュヴィッツでの出来事はモノクロームのフィルムで撮影されている。
物語は戦後20年経った船上からの回想で始まるが、アウシュヴィッツでのリーザの決意から現在までの二人の半生は欠落しており、これは其の儘『動きが有るフィルムワーク=二人の人生が燃えていた頃』『スチル写真で構成された現在=余生』、『その間の欠落した20年=人生を一度破棄し、再構築した年月』と見る事も出来よう。

アンジェイ・ムンクは本作の追加撮影の為、ウッチ撮影所へ向かう際に交通事故に遭い急逝した。
彼の完成版を観てみたいと云う想いもあるが、彼を悼む人々によって作成された本作も、現時点で十二分に、鑑賞者へ様々な思索を伺す名作である。

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