明石です

the EYE 2の明石ですのレビュー・感想・評価

the EYE 2(2004年製作の映画)
3.9
アジアンホラー(Jホラーも含めて)の中でも特に怖くて、なおかつ私的に一番面白いと思う大傑作『THE EYE』の監督&脚本を務めたパン兄弟の正当な続編ということで期待を大にして視聴。こちらも佳作でした。

前作の設定の根幹をなしていた、盲目の女性が角膜移植手術を受けたら霊が見えるようになるという設定は今作ではまるまる無くなり、睡眠薬を飲んで自殺しようとし、失敗した結果、それを機に「見える」ようになったという設定に。同じアイデアを引き継いでも前作を超える出来にはならないと踏んだのか(なにしろ前作が秀逸すぎたから)、潔いピボットが功を奏し、「1」とは別視点の、それも「1」を観なくても楽しめる作品になってる。しかし〇〇したら突然見えるようになるというのは、案外普通に起こりそうで怖いね。

本作の主要テーマは「転生(+妊娠)」になっていて、不倫男との間にできた子供が鍵になっているという展開。道教の教えを絡めつつ種明かしがされる中、予想できないところに運ばれていくワクワク感は「1」から衰えてないと思う。むしろマリッジブルーに痴情のもつれが絡んでの悲劇、幽霊をまじえての三角関係、そして産まれてくる子がまさかの、、という「1」よりドロドロした話、、一言でいうと、重たい!!笑

タクシーに乗り込んだら先客がいて「あ、すみません」と出ていったら実は誰も乗ってなくて、運転手に呼び止められたり、あるいは飛び降り自殺し半壊した死体が顔だけ向けて話しかけてきたりと、幽霊の見せ方が生々しい。「彼らは何もしない…」と何度も唱えて自分を勇気づけようとする感じも含めてリアル、、それから主人公が段々おかしくなっていく過程も、彼女が元々メンヘラだった(なにせ自殺未遂が全ての始まりだし)という設定のおかげでリアリティ増し増し。

「お願い転生させて、私はただ忘れたいだけなの」という幽霊の言葉がずしんと重い後味を残してくれますね。私的幽霊の名言ランキング(大真面目に)では、『死国』の栗山千明の「死んだら気持ちも死なんといかんが?」に次ぐ堂々の2位!!そして何より、〇〇の記憶が消えて終わるラスト、一見ハッピーエンドに見えて実はとんでもないバッドエンドでもあるという入れ子構造は『オールドボーイ』に影響されてのことなのかな。この終わり方、、本当に革新的だと思う。

ただ欲を言えば、前作で主演したクリスティナ・リッチと満島ひかりの魅力を足したようなあの絶世の美女に続投してほしかったな、、前作は完結しちゃってるので、せめてカメオ出演でも。今作は性格のキツさがお顔に出たようなルックスの主演俳優さんに、そのメンヘラチックな言動も含めてやや感情移入しづらかったのが唯一の難点でした。このシリーズは幽霊に怯える主演俳優の一人芝居が醍醐味でもあるので、90分観続けるそのお姿はなんだかんだ大事だったという話。

うむ、、パン兄弟の映画ハマっちゃったかも。
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